経絡について

ツボやスジ、経絡と聞いてどんな治療をするの?という方がほとんだと思います。ここでは一般の方にも経絡を良く理解して頂けるように、なるべく専門用語等の難しい言い回しを避け、簡便に説明していきたいと思います。そして最近テレビなどメディアで筋膜やインナーマッスル等、経絡の効果を解剖生理学的に裏付ける報道がなされているので、ここでもなるべく解明された事柄を使って説明していきたいと思います。

スジとツボ

身体の表面には、骨や筋肉、靭帯等の間を走行している各内臓の状態が現れるスジがあります。これは筋膜の場所と同じですし、隙間に深く入れる事で深層筋、インナーマッスルにアクセス出来る場所とも言えます。例えば胃が悪くなると、胃のスジの循環が低下し、そして循環の滞っている箇所がツボになります。つまり一般にツボ治療というのは、循環が滞っている箇所であるツボを刺激し、循環を改善することを指しています。

 

スジの循環は、内臓の状態を反映している

スジの循環が低下するとどうなるか

スジの循環が低下すると、熱のめぐりが悪くなるので、冷えが生じます。これにより、冷え症、しびれや痛み、筋肉のコリ等が生じます。またさらに冷えはスジの縮みを引き起こします。スジの縮みは更に猫背などの悪い姿勢に原因になります。

スジの循環の低下により【冷えと縮み】が起きる

身体環境問題を解決する経絡

スジの縮みにより、姿勢が悪くなり、姿勢の悪さは内臓を圧迫し、内臓の働きを低下させるといった悪循環のサイクルが形成されます。つまり身体は自然環境と同じように、関係性で成り立っていて、経絡は身体環境全体を整える技術とも言えます。例えばマッサージのように筋肉のみほぐしたところで、循環が悪ければ、すぐに冷えてコリが生じますし、姿勢が悪ければ常に筋肉が過緊張を起こしているので、同様にすぐコリが生じる訳です。

経絡はカラダエコロジカル

経絡がなぜ医療としての手技になりえるのか

この道に入るにあたり、探し求めた医療としての手技。それが私にとっては経絡だったのですが、なぜ経絡が医療としての手技になりえるのかをご説明したいと思います。ここでちょっとだけ専門用語を使わせて頂きたいと思います。経絡には証というものがあり、この証というのは西洋医学でいうところの診断です。ただ西洋医学が病名の診断であるのに対して、経絡の場合は現時点における個人の循環の状態の把握なのです。この循環のパターンにより、どんな病気が起こるか、どんな精神状態になるかといったような、先人が長い年月を掛けて構築した莫大な統計データーを有していて、ここが筋膜治療やインナーマッスル調整、深層筋治療といった歴史が浅い治療と決定的に異なるところです。

証というものは背中かお腹で、内臓の状態を面で調べるのですが、この証は例えるならば、モビールのようなものなのです
五臓六腑が全てバランスをとっている。証というものは常に全体のバランスを見ながら、部分の調整が出来る秀逸なツールなのです。この病名の枠ではなく個人の(オーダーメイド)現時点でのバランス(リアルタイム)、そして身体全体を動的に俯瞰している証(トータルバランス)というツールにより、他の身体を部分に分けた対症療法的な治療と一線を画す技術に成りえているのだと思うのです。

ちょっと脱線しますが、経絡は科学の考え方ではなく、アートの心が必要なのだと思います。キャンバスに一筆入れる度に、それは全体に響き、部分は他の部分と調和している。身体は機械のように分けて治せないし、内も外も分けられません。経絡は筋肉や骨、内臓などのモノとしての身体の隙間にあり、それをつなぐ存在なのです。

経絡には莫大な統計データーがあり「今 ここで生きている かけがえのない個性」をパターン照合する事が出来る

 

経絡の治療ジャンルを越えた効果(インナーマッスルとの関連において)

マッサージがアウターマッスルに働きかけるのに対して、経絡はインナーマッスルに働きかけます。ここでは皆さまに認知があるインナーマッスルを媒体にして、経絡の治療ジャンルを越えた効果の一部を説明したいと思います。

  • 姿勢が良くなる

インナーマッスルは別名「姿勢保持筋」と呼ばれるほど、「姿勢」と関係が深い筋肉です。あるべき正しい位置に関節を固定し、本来の姿勢を維持するという役割もインナーマッスルが担っています。特に胴体部分のインナーマッスルは重要で、おなかの下部にある骨盤底筋群が内臓の入った腹腔を下から支え、腹横筋、内腹斜筋、多裂筋が腹腔の周りを覆っています。これらのインナーマッスルが腹腔内の圧力を高め、横隔膜を押し上げることで体幹をまっすぐに支えているのです。

  • 二の腕、太ももが引き締まる

アウターマッスルを鍛えると肥大してするのに対して、インナーマッスルは鍛えると引き締まっていく性質があります。スジの循環が落ちている場所は皮膚の弾力が無くなっているので、深く指が入り、インナーマッスルを活性化する事により、二の腕や太ももが引き締まります

  • ポッコリお腹の解消、ウエストや下腹が引き締まる

インナーマッスル腹筋を強化すると、加齢とともに下がり気味になる内臓群を正常な位置に戻すことができます。すると、なかなか落ちなかったお腹まわりがシェイプされて、引き締まった腹筋を手に入れられるのです。

  • 丹田を中心とした身体バランスとなり、スポーツのコツを体得した身体になる

肥田式強健術や合気道など、和の丹田技法で長い鍛錬の結果、会得するコツのようなものを、全身の経絡の調整により、丹田を中心とした身体バランスを兼ね備えた身体になります。

経絡は治療、美容、エクササイズなど、ジャンルをつなぐ架け橋

最後に

 

これまで様々な治療法を学んで、実践してきましたが、経絡ほど、心の琴線に触れる技術はありませんでした。それは他の治療法が「分けたモノ」としての身体を治すのに対して、経絡は「つながり」をつくる治療であるからです。現在、西洋化近代化により、人と人のつながりが失われ、身体もモノの集まりの如く扱われ、病院でも数値や画像だけで診断が行われます。身体は分けるほどに個性も何もないモノになってしまいます。経絡はツボにはまると、響きが起こり、相手の心身の状態を丸ごと、我が事のように共感する事が可能となり、見立てが出来るのです。私が幼い頃、病院に行くとお腹を触診してもらい、痛いところを共感してもらうだけで、半分は治った気がしたものです。人がつながっていた時代の和の施術こそ、今また、人と人がつながり、身体を結び、環境と調和する媒体に成り得るものなのだと信じて、日々施術をしています

ツボにはまり、人とつながる スジを通し、身体を結ぶ ツボを響かせ、全てと調和する